川内・室谷川倉谷沢〜駒形山〜西ノ沢下降

2008年6月7日〜8日 
L.矢本和彦・矢本典子
記録=矢本和彦

 この時期、室谷川はちょっと早いかとは思ったが、他にいい場所が思いつかなかった。以前、戸隠パウダーキャンプのときにトマの棚橋さんと佐貫さんからデジカメの写真を見せてもらい、「よかった」という話を聞いた倉谷沢が頭に浮かんだ。また、10年前に熊倉さんに連れて行ってもらった駒形沢の思い出も重なり、久々に室谷に出かけることにする。ルートは棚橋さんらと同じで、駒形山から西ノ沢下降とする。
 前夜、東京を出発。室谷川にかかる橋のたもとに車を止めて仮眠した。
 翌朝、林道を歩き終点から沢に下りる。ゴルジュの中、これといった滝もなく、トロを胸まで水に浸かって通過したりしていく。小さな雪渓が3つあった。ルートファインディングが悪いため、駒形山へは左俣の1本手前の1005mピークに詰めるルンゼに入ってしまった。すると、幸か不幸か、視界には見事なスラブが開け、思わずハーフドームを彷彿させるような見事な光景に感激した。下段をフリーで登っているとき、急にボフッボフッというような動物の声が聞こえ、振り向くと大きなツキノワグマが10mくらい下の、滝の落ち口付近を走って通過していった。これには典ちゃんも喜んだ。スラブとクマが大きな収穫となった。スラブ上部は典ちゃんリードでロープ1ピッチで抜けた。



 尾根に上がると薄い藪こぎで駒形山を目指した。駒形沢には雪渓がびっしり入っていた。駒形沢に上部はすり鉢状で見事なスラブだ。駒形山への最後は濃い藪となった。山頂にはやたらとブユが飛び回っていて不快だったが、周囲は標高1000m前後の山とは思えない、雪とスラブの山容が印象的だった。
 コルから西ノ沢を下降する。上部は雪渓となっていた。大きな滝が連続し、ほとんどがブッシュを使って降りられるが、1か所、懸垂をした。なかなかいい幕場が見つからなかったが、薄暗くなったころ、ようやくツエルト1張分のスペースを見つけた。そのころ、雨がパラパラと降ってきたが、しばらくすると止んだ。すぐ近くに雪渓があって寒かったが、盛大な焚火でなんとか温まった。

: photo : 上2枚は倉谷沢の遡行/右は倉谷沢源流のスラブ

 翌日も滝の下降が続いたが、すぐに緩い地形となり、室谷川に合流した。出合は滝になっているが左岸から巻き降りられる。室谷川の下降を始めるとすぐに巻けないトロがあって泳いだ。その後は、ハイペースでゴルジュの中をヘツリと巻きで下降した。大きな雪渓が3か所くらいあったが、問題なく通過できた。駒倉沢の出合の滝は右岸の踏み跡をたどる。
 室谷川は本当にきれいだ。いつきてもそう感じる。
 林道へは大久蔵沢の出合のところに踏み跡があって、難なく上がれた。10年前に熊倉さんと来た時には、ひどい藪こぎだった気がするのだが。
 林道をたどって車に戻り、御神楽温泉に立ち寄って帰京した。



: photo : 上は西ノ沢の下降/下2枚は室谷川本流ゴルジュ

<コースタイム>
6月7日 室谷川(橋の脇)5:45〜林道終点・入渓6:40〜源頭12:40〜駒形山15:20〜西ノ沢650m付近17:50
6月8日 6:20〜室谷川本流出合7:50〜駒形沢出合11:30〜大久蔵沢出合・林道13:15〜室谷川(橋の脇)14:00