朝日連峰・桝形川フスベ沢〜東大鳥川西ノ俣沢右俣下降〜桝形川岩魚沢下降
2008年8月9日〜11日
L.大津政雄・宮内幸男・熊倉彰
記録=大津政雄
8月9日
土砂崩れの影響で、村上へ抜ける道が松ケ崎の先で通行止めという表示がでている。計画の見直しさえ思案する。実際、車の最新のナビは村上回りのアプローチを指示している。幸いに大鳥集落の朝日館で桝形川の林道分岐まで30分ぐらいのところという情報が得られた。
桝形川への林道から踏み跡を辿り、2本谷を越えて踏み跡が不明瞭になったあたりから沢に降りる。沢に足を踏み入れ、徒渉を繰り返すたびに幾何級数的にアブはその数を増してくる感じだ。久しぶりのアブの数は、ウインドブレーカーを羽織り、軍手をはめ、防虫ネットを被る出で立ちの汗を流す不快さも凌駕する。爽快とは言えないその格好でゴルジュをへつっていくと、やがて谷は開け、インゼルを通過すると岩魚沢の出合である。
再びゴルジュに入り、8m魚止の滝は水流の真ん中のカンテにロープを伸ばす。その確保点が西俣沢の出合である。岩に苔が勢いよく繁茂している様子が気になりながら歩いていると、右岸から大崩落した土砂がダムを作っている。幅は100m、長さは500〜600mといったところか。右岸の藪を巻いていかざるを得えない。
程なくしてフスベ沢の出合である。すぐに出てくる30m滝は上部がどうしても藪に逃げざるをえず、登る必然性を感じなかった。右岸のガレからの巻きは、浮き石が多く、予想に反して不安定な斜面に、結構大きく巻き上がることになってしまった。スノーブリッジに乗り、連続する4〜5mの滝を越え、さらに不安定なスノーブリッジをくぐって6m滝を右岸から越えた比較的平坦な場所を幕場にした。
photo : 左上から 下部ゴルジュ/魚止めの滝8m/土砂ダム/フスベ沢30m滝
8月10日
幕場から続く小滝をショルダーやロープで切り抜けていく。細長い釜に守られた8m滝は容易に超えられず、左岸の斜上バンドをトラバースし滝身の脇の凹角へとロープを伸ばす。そして、最後の15mくの字の滝が越えるとほぼ滝場は終わり、左岸から流入する一本目の枝沢から9時半には稜線に抜け、小尾根伝いに東大鳥川の西ノ俣沢へと下降していく。
東大鳥川も西大鳥川も同じ花崗岩で形成されているものの、印象が大分異なる。下降している東大鳥川はどこまでも明るく、白さの際立つ、秀麗な渓相という印象が刻まれる。下から見ると立派な5段70mの滝は右岸の藪伝いに、20m滝も右側からうまく藪を拾って降りる。穏やかな渓相と迫力をもった滝が交互に現れ、メリハリの利いた楽しい谷である。
そして、最後は、流れが白い岩を穿ち、屈曲した、先行きに不安を抱かせるゴルジュとなって締めくくる。三俣に合流し、時間は早いが広く穏やかな河原の本流で泊まる。
photo : 左上から フスベ沢8m滝/東大鳥川70m滝/東大鳥川20m滝/東大鳥川三俣手前ゴルジュ
8月11日
桝形川へと下降するために、920m付近で左岸の枝沢に入る。左側に屈曲した部分の5段20mの滝を2ピッチで抜け、沢の屈曲点の小沢を50mほど登り、苦もなく乗り越すことができた。稜線には踏み跡と思しきものがあり、ブナの幹には「砂金採り」などの古い切りつけが残される。
コルから岩魚沢に向かっていくと自然に沢型になり、地形図でもそれとわかるように標高850m付近から急降下する。右側の尾根を伝い、その後、15m滝を1か所懸垂した以外は楽に下れ、下降に適した沢である印象を受けた。
穏やかな流れに入ると、防虫ネットにウインドブレーカーそして軍手という防備をしても、アブは軍手の上からも容赦なく刺してくる。そのアブは林道から車を止めた広場までしつこくまとわりついてきた。
photo : 東大鳥川5段20m滝
<コースタイム>
8月9日 車止(6時55分) 桝形川(8時5分) 岩魚沢(9時50分) 西俣沢出合(11時10分) フスベ沢(13時) 幕場(15時30分)
8月10日 幕場(5時30分) 上部分岐(8時25分) 稜線(9時35分) 70大滝下(11時) 三俣(12時20分〜45分) 幕場(13時20分)
8月11日 幕場(5時30分) 乗越(6時40分) 白岳沢(7時40) ワカメ沢(9時30分) 林道終点(11時55分) 車止(12時55分)
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