上信越・雑魚川外ノ沢(中退)

外ノ沢最初の大釜2010年6月26日〜27日
L渕上麻衣子・宮内幸男・佐藤千衣子(会員外)・佐貫悦子(トマの風)

 雑魚川の外ノ沢は美しい沢だと聞いていた。山とは関係なく温泉めぐりで一昨年の晩秋に秋山郷から志賀高原に抜けた折り、雑魚川林道沿いの森の美しさに驚いた覚えがある。うねうねと広がる落葉広葉樹林の大海原に外ノ沢が大きな谷となって望まれた。あの森に美しいナメを連ねると聞き及び、近いうちにぜひ訪れたいと願っていた。記録を検索すると、一般的には下山に岩菅山登山口を選んでいることから車が2台あると便利らしい。
 そういう意味でも今回は直前にトマの佐貫さんの参加を得られたのは幸運であった。佐貫さんは快く新車を提供してくれると言う。全く有り難いことだ。金曜の晩、仕事を終えた私はネクタイのまま汚いザックを背負い横浜から東横線に乗った。佐貫さんは都内の東横沿線に住んでいる。
外ノ沢のナメを行く 佐貫さんの車で待ち合わせの三芳PAに向う。三芳では東武練馬から向かう代表を柳瀬川あたりでピックアップした浦和の麻衣ちゃんが待っているはずだ。深夜に岩菅山登山口付近でテントを張って寝たが、明け方は寒さに震えた。麻衣ちゃんはここの標高が既に浅草岳より高いことを知り驚いていた。下田川内に親しい佐貫さんは酸素が薄いと訴えていた。ここに車1台をデポして雑魚川林道に向う。
 天候はどんより曇り空。走り出すとフロントガラスにポツポツと水滴が当たり始めるが、中途半端で悩ましい。どうせ降るなら中止を受け入れるほどに潔く降ってほしいものだ。車を停めてから雑魚川まで僅かな下りであるが、ブナ、トチ、ミズナラが素晴らしい。下りきって取水堰を渡り対岸の水平道に導かれる。こちらの道も素晴らしい。小1時間の林間ハイクで外ノ沢を吊り橋で渡り、外ノ沢右岸に沿って取水堰まで作業道を行く。途中にあるトンネルでは蝙蝠に驚かされ、その先ではトチの大木に目を見張った。なかなかアプローチで楽しませてもらう。
雨に降られ美女美女 外ノ沢下流の取水堰で支度を整え入渓すると、すぐに大きな釜を持った斜瀑が現れた。もう少しお天気が良ければもっと美しいだろう。この釜にすっかり気分を良くし、期待に胸を膨らませて進むが、思った以上にゴーロの部分が多い。おまけにぬめった岩質に神経をすり減らしブーイングがやまない。それでも2つくらい滝を数えると待望のナメが現れる。佐貫さんから「やっと笑顔が出てきたね」と言われナメをヒタヒタ上る。穴明沢の左俣に進み、1450mあたりを泊り場とした。この夜は大き目のブルーシートを広げて焚き火を愉しんだ。予想通り夕方から雨が降り出し、夜半からは本降りとなった。
 翌6月27日.朝から嫌な雨である。これから稜線に抜けてからも縦走があり時間がかかる。ラジオからは長野県地方に大雨注意報が出ていると告げられ、あっさりここから下降を選択した。昼ごろ車に戻り、あとは当然 佐貫さんと温泉めぐりである。佐貫さんを半端な山行に誘ってしまった後ろめたさから、私は佐貫さんも唸る温泉をご案内しなくてはならなかった。

写真上から:外ノ沢最初の大釜/外ノ沢のナメを行く/雨に降られ美女美女